法律相談Q&A
- HOME
- 法律相談Q&A
Q担当者に対する誹謗中傷行為について
担当者として、顧客や取引先からのいわれのない誹謗中傷行為を受けました。会社の方針などもあり、丁寧な説明をしていたのですが、担当者である私自身について、不真面目な対応や乱暴な言動を行っている、会社と結託して違法行為を行っているなど事実ではないことをネット等にも書き込まれています。どのように対応したらよいでしょうか?
A回答
1 誹謗中傷行為について
顧客や取引先だからといって、担当者に対して誹謗中傷行為をしていいわけではありません。事実に反することを述べて、誹謗中傷行為を行った場合には、その内容によっては名誉毀損に該当し、民事上も刑事上も違法行為となる場合があります。民事であれば、名誉毀損による損害賠償請求の対象となり、刑法上は、名誉毀損罪あるいは侮辱罪に該当する可能性があります。
顧客や取引先であるという立場を利用して、反論がしづらい立場の担当者に対する個人的な攻撃を行うことは社会的相当性を逸脱した行為であり、違法となります。
2 ネットの掲示板の書き込みについて
発信者情報を特定することができます。ネットの掲示板は匿名で書き込みされることが多く、書き込みを行った者を特定することが困難なケースが多いです。そこで、裁判所に発信者情報を開示する請求を行い、投稿した者が誰なのかを特定することができます。具体的な方法としては、投稿された記事のIPアドレスを特定してプロバイダー情報の開示を受けた上で、プロバイダーに対して投稿した者の住所氏名を開示請求することになります。弁護士費用や実費などの費用がかかりますが、発信者情報開示に詳しい弁護士に依頼する方法が考えられます。
3 誹謗中傷行為への対応
弁護士から、内容証明郵便で誹謗中傷行為を止めるように要求することになります。弁護士から内容証明郵便を送っても応じない場合には、裁判所において、架電禁止・面談禁止の仮処分を申し立てることや、誹謗中傷行為について名誉毀損による損害賠償請求を行い、名誉回復のための具体的な措置を行うことを求めることもできます。
4 会社との関係に対する懸念について
会社との関係で顧客や取引先との関係を自分が壊してしまうことになったら責任が発生することを心配されるかもしれません。しかしながら、担当者であるご自身が精神的に追い込まれてしまい、うつになって仕事ができなくなったりすることまで会社は求めていませんし、求めることはできません。1人で抱え込まずに速やかに上司に相談するべきでしょう。
5 福岡県暴追センターの無料相談をご利用ください
福岡県暴追センターでは、暴力団やクレーマーに関するトラブルに関する無料相談窓口を開設しています。暴力団対応等に精通した委員や民暴対応・クレーマートラブルに精通した弁護士が丁寧にお話しを伺って、適切な対応をアドバイスします。是非ご利用ください。
回答した人
弁護士法人福岡西法律事務所
弁護士 伊藤 拓
〒819−0006
福岡県福岡市西区姪浜駅南1−6−24 2階
TEL092−836−7903
FAX092−836−7904
Q
私は、昨年マンションを購入し、家族と一緒に住んでいますが、どうも同じマンションの一室を事務所として暴力団組員が出入りしているようで、素行の悪い者達が多数出入りしています。幼い子どももいるため、トラブルが発生しないか不安です。何か対応することはできますか。誰に相談していいかもわかりません。
A回答
建物の区分所有等に関する法律(マンション法)は、区分所有者や使用者は、共同の利益に反する行為をしてはならないと定めています。マンションの一室が本当に暴力団組事務所となっている場合には、共同利益違反行為の程度によって、マンション法を使って、該当する居室の使用を差止めたり、禁止したりすることを請求できます。
また、住民が威圧行為を受けたり、抗争に巻き込まれたりするような危険性が高いケースでは、その居室を競売にかけるよう裁判所に求めることができます。このような場合、原則として、マンションの住民と警察、弁護士が連携して手続きを行います。
こうした手続を進めるためには、組員の出入り状況や迷惑行為の実情、居室の様子(たとえば監視カメラや防弾ガラスの設置状況、堅牢な外観の扉)などの情報を整理したうえで、管理組合の総会を開く必要があります。
不安に思われる住民がいるかもしれませんが、暴力団対策に詳しい弁護士が住民への説明をお手伝いできますし、警察が警備体制を強化するなどの安全対策をとってくれますのでまずはご相談ください。
また、これまでは住民の方が一致団結して、当事者として前面に立たなければならないことも多かったのですが、昨今は、事案によっては、住民の方から委託を受けて、暴追センター(適格団体)を当事者とすることができる制度なども準備されています。
いずれにせよ、このような問題が発覚したら、マンションの管理組合への情報提供を行うとともに、福岡県弁護士会民事介入暴力対策委員会と連携している、福岡県暴力追放運動推進センター(暴追センター)にまずはご相談ください。
回答した人
赤坂明治通り法律事務所
中島 正博 弁護士
〒810-0041
福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル403号
TEL 092-741-2884
Q暴力団からの離脱に関する相談
私は、かつて暴力団員がたくさん居た地域で生まれ育ち、現在も住んでいます。同級生や先輩・後輩、近所の人にも暴力団員がいました。飲みに行くと必ず暴力団員と思われる人が一人は居るような状況で怖い思いもしてきましたが、最近は、警察や暴追センター、弁護士などの暴排活動によりめっきり暴力団員は少なくなり、荒っぽいことも少なくなって街も明るくなったように感じます。最近、街中で中学校時代の同級生とばったり会いました。立ち話をしましたが、その同級生はどういう経緯からか暴力団員となっており、立ち話で暴力団を辞めたい、辛い、でも辞めるのも怖い、という話をしきりにしていました。子どもの頃はほんとうに優しい奴で、なぜ暴力団員になってしまったのかもわかりませんが、暴力団を辞めるためには痛い思いをさせられるとも聞いています。同級生を暴力団から辞めさせるためにどのような助言をしてあげればよいでしょうか。
A回答
同級生が心配ですね。福岡県ではまれにある話ですが、暴力団を辞めることを私たちは暴力団からの離脱と呼んでおり、離脱は、暴力団による被害をなくす有効な方法として、また、暴力団員となった人も見方を変えれば悪いことをさせられていた被害者とも言い得ることから、近時、県警や暴追センターを中心にさまざまな離脱支援が用意されています。また、離脱するに当たって、暴力団との間での金銭トラブルや不当要求などがある場合には、私たち弁護士が法的にサポートすることもできます。
もっとも、暴力団への取締りが厳しくなっていることによって、暴力団員という肩書きを外し、社会に紛れながら実質は暴力団員と変わらないことをする人が出てくることが強く懸念されています。そのような背景もあり、県警や暴追センターが行っている離脱支援を利用する場合や私たち民暴弁護士がサポートする場合には、離脱しようとする暴力団員が暴力団を辞めたいという意思を本当にきちんと有しているのかをしっかりと確認することとなります。
離脱に当たっては、暴力団(他の暴力団員)からの嫌がらせや金銭の不当要求などが離脱しようとする暴力団員や離脱に協力しようとする人にされることも考えられます。ですので、同級生が本当に離脱の意思を持っているのであれば、まずは、県警や暴追センター、もしくは民暴弁護士を紹介し、ご相談に行くように助言してあげることが適切と考えます。
福岡県においては、県民の皆様、県警、暴追センター、民暴弁護士などによる、一体となった暴力団排除の取組みが奏功し、暴力団追放から、その先の離脱、離脱者の社会での受け入れ、社会内での立ち直り、というフェーズに入ってきているのだと思います。
出口における暴排ともいえる離脱を進めていく環境を整えていくことも、重要な暴排活動であると考えています。
回答した人
かなえ総合法律事務所
代表弁護士 甲谷健幸
〒812-0013
福岡市博多区博多駅東3丁目11番14号
アバンダント90 5階
092-292-6826(代表)
092-292-6827(FAX)
Q暗号資産の名を騙った詐欺
3か月前に、A男から、仮想通貨の投資話を持ちかけられました。初めてでしたが、アメリカでは有名なXYZという大手の会社のものだと言ってA男がしつこく持ち掛けることもあり、100万円を預けました。すると1か月後に利益が出たとかで、A男が現金で20万円を持ってきました。すっかりA男を信用した私は、最終的に合計500万円をA男に渡しました。私のほかにも何人かがお金を渡しているようで、A男は合計4000万円くらいを預かっていると言っていました。2週間前に、A男からXYZが破綻したことを知らされました。おかしいと思った私は、A男の事を調べると、指定暴力団○○会系の組員であることがわかりました。XYZという会社が存在したか、存在したとして本当に破綻したかもわからず、今後どのようにしてお金を回収すればよいでしょうか。
A回答
「暗号資産(仮想通貨)」とは、インターネット上でやりとりできる財産的価値であり、「資金決済に関する法律」において、①不特定の者に対して、代金の支払い等に使用でき、かつ、法定通貨(日本円や米国ドル等)と相互に交換できるが、法定通貨または法定通貨建ての資産(プリペイドカード等)ではない。②電子的に記録され、移転できる。という性質をもつものと定義されています。代表的な暗号資産には、ビットコインなどがあり、銀行等の第三者を介することなく、財産的価値をやり取りすることが可能な仕組みです。
しかしながら、上記のように暗号資産は、「法定通貨」ではありません。また裏付け資産を持っていませんので、利用者の需給関係などの様々な要因によって、価値が大きく変動する傾向にあります。投資の仕組み自体が難しいため、暗号資産の取引を行う場合は、事業者から十分に説明を受け、内容をよく理解してから取引に入ることをお勧めします。さらに、そもそも暗号資産交換業者は登録が必要です。利用する際は登録を受けた事業者か確認をしてください。暗号資産など新しい投資の商品は、テレビなどで有名なタレントなどが広告に使われ、消費者としては安易に信用しがちではありますが、業者の存否や投資の仕組みなど、十分に調査をした上で取引に入ることが必要です。
今回の相談者の場合、XYZという会社が存在しない場合、A男から騙されて500万円の損害を被っているので、A男に対して損害賠償請求をすることになります。しかしながらA男に資力があるとは限りません。そこでA男が暴力団員であることから、暴対法31条の2を適用し、暴力団組長の民事責任を追求することが考えられます。具体的な損害賠償請求は事案毎に異なりますので、まずは暴追センターの無料法律相談をご利用ください。暗号資産に限らず、コロナ禍の臨時給付金等の名を騙った詐欺や悪質商法が増えていますのでご注意下さい。
回答した人
平和通り法律事務所
弁護士 小鉢 由美
〒802-0003
北九州市小倉北区米町1-1-1小倉駅前ひびきビル303号
TEL093-953-6237
FAX093-953-6238
Q
暴力団事件に関連し、組長を相手に損害賠償請求が出来るというネットニュースをみました。私の親戚のAさんは暴力団員からみかじめ料を断ったところ殴られてしまい、怪我をしたばかりか、みかじめ料を支払い続けていました。同じく親戚のBさんは、暴力団員が関係する特殊詐欺(振り込め詐欺)の被害にあいました。AさんやBさんは、組長に何か請求できるのでしょうか。
A回答
AさんもBさんも暴力団のせいで酷い目にあってしまいましたね。Aさんに加害した暴力団員は傷害罪、恐喝罪になるでしょうし、Bさんに加害した暴力団員は詐欺罪に該当するわけですから刑事裁判で処罰を受けるでしょう。それに加え、損害賠償請求といった民事責任の追及も検討されるべきところです。もっとも、直接的な加害者たる暴力団員は経済力が無いので賠償を得られないということも考えられます。そのような時に、組長に損害賠償が出来れば、賠償の実を高め、組織に対するダメージを与えることが出来ることになります。
1 暴対法31条の2について
暴対法31条の2は、指定暴力団の代表者に対する責任追及を定めています。指定暴力団の暴力団員が「威力利用資金獲得行為」によって生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害につき組長等が賠償責任を負う旨を定めています。
ここにいう「威力利用資金獲得行為」とは、「当該指定暴力団の威力を利用して生計の維持、財産の形成若しくは事業の遂行のための資金を得、又は当該資金を得るために必要な地位を得る行為」をいうとされており、上記のAさんのような暴力団の威力による財産侵奪行為がこれに当てはまるわけです。
Aさんは、末端組員のみならず、暴対法31条の2を根拠に組長の民事責任追及をなしうることになります。
2 特殊詐欺に対する組長責任追及について
では、Bさんの事例では暴対法31条の2の適用はどうでしょうか?暴対法31条の2は「威力利用資金獲得行為」が要件とされています。特殊詐欺の場合には、威力を示されて送金してしまうのではなく、騙されて送金をしてしまうのですから、被害者に対する「威力利用」とは言い難い面があります。しかし、最近の裁判例では、特殊詐欺を行うグループの形成に際して暴力団の威力が用いられているということから、このような暴力団員が関係する特殊詐欺についても「威力利用資金獲得行為」として、組長の民事責任を認めています。
Bさんは、暴力団組員の関与する特殊詐欺の被害にあっていることから、暴対法31条の2に基づき、その組長に対する民事責任の追及をなし得ます。これにより、少しでも被害回復が出来るかもしれません。また、このような請求を通じて、暴力団の資金源をはく奪していく効果、特殊詐欺への抑止効果も期待できそうです。
回答した人
小川・橘法律事務所
弁護士 小川 剛
〒810-0041
福岡市中央区大名2丁目4-22新日本ビル8階
小川・橘法律事務所
電話 092-771-1200
FAX 092-771-1233
Q賃借人からの不当要求と賃貸借契約の解除
所有する賃貸マンションに入居している賃借人から、室内設備トラブルによるストレスで仕事を休むことになったとして高額の慰謝料や給与相当の補償を求められました。要求を断ったところ、部屋に呼ばれて入れ墨を見せられ、「〇組の〇を知らないのか」、「なめてるのか。ぶっ殺してやる」などと言われ、とても怖いです。暴力団員であることを理由に賃貸借契約を解除して、退去してもらうことはできないのでしょうか。
A回答
1 賃貸借契約解除の基本
賃貸借契約では、賃貸人と賃借人の信頼関係が重視されます。したがって、賃貸人から賃貸借契約を解除するには、賃料不払等の解除事由に該当することに加え、お互いの信頼関係が破壊されたといえるような事情が必要です。この点、賃借人が暴力団員であるだけで直ちにこうした事情が認められるとは限らないことに注意が必要です。
2 どのような事情があれば信頼関係が破壊されたといえるか
例えば、何人もの暴力団関係者を頻繁に出入りさせて事務所として使用していたり、周辺住民を威嚇したり、他の暴力団と抗争中であるといったような事情があれば、信頼関係が破壊されたといいやすくなります。
本件のように具体的な暴力団組織の名前を示して不当な要求をしたり、害悪を告知して脅したりすることも、信頼関係を破壊する事情になり得ます。
3 他に有効な対策はあるか
契約書に暴力団排除条項(反社会的勢力排除条項という名称のこともあります。)があれば、それに基づいて賃貸借契約を解除することもできます。暴力団排除条項は、暴力団員等でないことの誓約と、それに違反した場合に相手方が契約を解除できる権利を定めるものが多いですが、もっと簡易な規定の仕方をしている場合もあります。
暴力団排除条項は契約の「入口」と「出口」の両方で賃貸人を保護してくれる、大変有用な条項です。暴力団員等はこの条項があることで契約締結を避けたがりますし、契約開始後に暴力団員等であると判明した場合にも、規定が存在しない場合と比べて格段に契約を解消しやすくなります。
本件でも暴力団排除条項が契約書の中に規定されていれば、これによる解除を検討することができます。
具体的な賃貸トラブルの解決方法は事案ごとに様々です。実際には、暴力団員であるかどうかがはっきりしない場合もあります。そういう場合にも、暴追センターで月2回開催している弁護士による民暴特別相談を是非ご利用ください。詳しくお話を伺ったうえで、良い解決方法を一緒に考えていきましょう。
回答した人
田邊法律事務所
吉野 啓作 弁護士
〒810-0042
福岡市中央区赤坂1丁目14番22号
センチュリー赤坂門ビル5階
Q
民事介入暴力その他の犯罪により生命・身体に被害を受けた場合、被害者やその遺族は、加害者の刑事裁判に直接関与することはできるのでしょうか。
A回答
1 はじめに
刑事訴訟法やいわゆる犯罪被害者保護法において、被害者及びその遺族が、主体的に刑事手続に参加でき、また、迅速に被害回復を図ることができる制度があります。
2 被害者参加制度について
殺人罪や傷害罪等の一定の重大事件の被害者やその遺族等で、裁判所より、手続への参加を許された者又はこれらの者から委託を受けた弁護士(以下「被害者参加人等」といいます)は、当該事件の公判期日へ出席することが可能です。その際、暴力団事件においては、暴力団等の被告人の関係者が多数傍聴に来る可能性もあるため、威迫を防ぐ観点から、被告人や傍聴人との遮蔽措置を講じることも可能です。
また、被害者参加人等は、検察官に申し出ることにより、証人や被告人に対し、公判期日において、直接質問することも可能です。ただし、証人に対しては、被告人の反省の程度等の情状に関する事項に限られます。
さらに、被害者参加人等は、検察官に申し出ることにより、公判期日において、検察官の論告・求刑と同様の最終的な意見陳述を行うことも可能です。
このような制度により、事件の被害者や遺族等は、犯人の刑事事件に一定の関与を行うことができ、かつ、事件の帰趨をより良く知ることが可能となっています。
3 損害賠償命令制度について
損害賠償命令制度とは、刑事事件の対象となった犯罪事実を原因とする不法行為に基づく損害賠償請求について、当該刑事事件を担当した裁判所が、刑事事件の成果を利用して、被告人に賠償を命じる制度です。殺人罪や傷害罪等の一定の故意犯が対象事件となっています。
損害賠償命令制度は、被告人の責任が明らかな場合に迅速に債務名義を取得させる制度であり(これにより、被告人の財産への強制執行が可能となり、任意の弁済を促す契機ともなります)、申立てに要する印紙も一律2000円とされており、一般の民事訴訟よりも費用負担が軽減されています。
刑事事件についての有罪の言渡しがあると、直ちに損害賠償命令の審理が開かれ、原則として、4回以内の審理期日で終結するものとされています。
4 さいごに
いずれの制度の利用についても、専門家である弁護士の支援を受けることが望ましいと考えられます。弁護士費用の負担については、日本司法支援センター(法テラス)の利用により軽減することも可能です。まずは、一人で悩まずに、弁護士や警察、福岡県暴力追放運動推進センターなどに相談されることをお勧めします。
回答した人
大野慶樹法律事務所
河野 翔 弁護士
〒810-0001
福岡市中央区天神4丁目2番20号
天神幸ビル3階
Q
先日、車の運転中によそ見をしていて、追突事故を起こしてしまいました。相手方にすぐに謝罪をしたのですが、相手方は暴力団のような見た目で、その場で小一時間説教をされました。警察を呼んだら後々面倒なことになるから、呼ばないようにと言われました。どのように対応すれば良いのでしょうか?
A回答
1 心構え
相手方が暴力団のような見た目であり、かつ、責任がこちらにあったとしても、必要以上に恐れてしまってはいけません。責任があるからこそ、警察に届け出るなどドライバーとしてやるべきことをきちんとやる必要があります。損害賠償についても相手方に生じた損害を確認した上で、保険会社などを通じて適切な賠償額を支払えば良いのです。相手方に過度に恐れてしまい、相手方のペースに巻き込まれて不当な要求をされないように注意しましょう。
2 警察への届出
交通事故を起こした場合には、直ちに最寄りの警察署に届け出なければならないとされています(道路交通法72条1項)。例え物損だけに過ぎない事故であったとしても、警察署に届出をしなければ違法となりますので、相手方に弱みを握らせることになってしまいます。届出をしなくてよい交通事故はありません。交通事故を起こしたらすぐに警察署に届け出るように心がけておきましょう。
3 直接面会を求められたら
暴力団との関係をちらつかせて、直接事務所や自宅まで来て謝罪をするように求められることがあります。こちらが加入している任意保険会社の担当者が決まっているにも関わらず、直接連絡を取ってくるような場合には、自分の判断で面会することはせずに、任意保険会社の担当者に相談するとともに、予め福岡県暴追センターや暴力団対応に精通している弁護士に相談しましょう。
4 念書を書くように要求されたら
交通事故の現場などで、「責任はお前にあるのだから、損害を全額賠償することを約束する念書を作成しろ」と言われる場合あります。損害額を全額賠償することを約束する念書は、賠償の範囲が不明確であり、法的効力があるかは不明ですが、後々念書を立てに不当な要求が繰り返されることになりますので、念書などの書面は絶対に書かないようにしましょう。
5 交通事故の現場でお金を要求されたら
交通事故の現場で「50万円支払ったら終わりにしてやる」と言われる場合があります。これには絶対に応じてはいけません。50万円を支払えば、その後も金額をつり上げて請求が続くことが想定されますし、50万円がどのような損害に対する賠償なのかがはっきりしていません。現場で支払ったこともうやむやにされるおそれもあります。損害賠償は、保険会社を通すなどしかるべき手続をした上で、支払いましょう。
6 福岡県暴追センターの無料相談をご利用ください
福岡県暴追センターでは月に2回、暴力団やクレーマーに関するトラブルに関する無料相談窓口を開設しています。暴力団対応等に精通した委員や民暴対応に精通した弁護士が丁寧にお話しを伺って、適切な対応をアドバイスします。是非ご利用ください。
回答した人
福岡西法律事務所
伊藤 拓 弁護士
〒819-0006
福岡市西区姪浜駅南1丁目6-24
髙辰ビル2階
Q
私は飲食店を経営していますが、暴力団の組員に毎月みかじめ料を支払っています。断りたいのですが、店に嫌がらせをされたり、私や従業員の身に危険が及んだりするのではないかと思うと心配です。また、これまで払ってきたお金は取り戻せるのでしょうか。
A回答
1 みかじめ料とは、縄張内で営業を営む者に対し、その営業を営むことを容認する対償として支払わせる金品等、あるいは守料、用心棒代的な意味をもたせて支払わせる金品等をいうものとされています。
飲食店から徴収するみかじめ料は古くから反社会的勢力の重要な資金源の一つですが、暴力団対策法では、暴力的要求行為として指定暴力団がみかじめ料を要求することを禁止しました。
逆に、事業者がみかじめ料を支払うことは、各都道府県の暴力団排除条例において、暴力団員に対する利益供与に該当するとして禁止されています。
そして、みかじめ料等の金品を渡してしまった事業者には、その支払を止めるよう公安委員会から勧告がなされることがありますし、勧告に従わなかった場合には、公安委員会によって氏名及び住所等が公表される場合もあります。その様に、暴力団密接関係者として公表された場合には、銀行取引や融資、店の客足に重大な影響が出ることになるでしょう。
したがって、みかじめ料は絶対に支払ってはなりません。
2 嫌がらせ等の心配もあるかと思いますが、脅して金銭を要求すれば、恐喝罪等に該当し、逮捕、処罰というリスクを伴うことから、暴力団としても割に合いません。
地区の業界や組合等によっては、業界団体として一斉にみかじめ料の支払を拒絶する体制をとっていますので、そのような制度を利用したり、警察や暴力追放運動推進センター、弁護士などに相談したりして、勇気をもって暴力団員からの請求を拒絶しましょう。
3 過去に支払ったみかじめ料については、要求行為者に対する不当利得返還請求、不法行為に基づく損害賠償請求、要求行為者の所属する指定暴力団の代表者等に対する損害賠償請求をすることが考えられます。実際、みかじめ料を徴収する行為が不法行為であるとして損害賠償請求を認めた裁判例もあります。
4 過去に支払ったみかじめ料を取り返すことについては、みかじめ料の支払を拒絶すること以上に大変な勇気が必要と思われますが、警察、暴力追放運動推進センター、弁護士などに是非ともご相談いただきたいと思います。
回答した人
ヒロツ法律事務所
廣津 洋吉 弁護士
〒830-0062
福岡県久留米市荒木町白口11-1
OY120ビル4階
Q
居酒屋を経営しています。従業員がお酒をこぼしたため謝罪したところ、お客様から「謝罪だけですむと思っているのか!誠意を見せろ!」と、無茶な要求を受けています。ミスをした以上、お客様の要求には応じなければならないのでしょうか?
A回答
クレイマーやカスタマーハラスメントとも呼ばれる「消費者による自己中心的で理不尽な要求」にお困りのお店も多いと思います。特に、居酒屋などのアルコールを提供するお店では、酔ったお客が興奮して、エスカレートした要求をしてくることもあるでしょう。
どんなに丁寧に接客していても完全にミスをなくすことは出来ません。些細なミスにつけ込んでくる消費者との対応では、ミスに対する謝罪と非常識な不当要求に対する毅然とした対応を区別して考える必要があります。
謝罪したからといって全ての要求を受け入れなければならなくなる訳ではありません。法的な責任には一定の限度があります。その内容は社会常識に基づいており、謝罪したからといって、社会通念に照らして理不尽な要求に応じる責任が生じることはありません。
弁護士の立場からすると、居酒屋の店員がお酒をこぼした程度のミスによる損害賠償請求を依頼されても、裁判で慰謝料を勝ち取ることは極めて困難です。つまり、店側に法的な責任が生じる可能性自体がとても低いのです。
店側の謝罪につけ込んで理不尽な要求を受けた場合には、録音をしたり、その場での回答を控えたりなどの店全体での対応が必要となります。
多くの場合、理不尽な要求をしてくる相手は、目の前の店員を言い負かせば要求が通ると考えていますので、店全体や会社全体で時間をかけて対応することで、相手の勢いをそぐべきです。
店側にミスがあったとしても、それにつけ込んだ暴力的な謝罪要求が許されるわけではありません。一線を越えれば脅迫罪や強要罪などが成立する場合もあります。特に、背後に暴力団など反社会的勢力がいるかのようにほのめかしてくる場合には、その場しのぎの解決になりがちですが、要求に対して即答せず、警察に通報することも含めて組織的な対応を行いましょう。
酔った勢いだけの不当要求であれば、時間をかけて相手の勢いをそぐことで対応可能だと思いますが、執拗な要求の場合には、警察、暴力追放運動推進センター(暴追センター)、弁護士などの専門家へ躊躇せずに相談して下さい。
暴力団が潜在化している近頃では、相手が単なるクレイマーなのか、暴力団などの反社会的勢力なのかは、分からなくて当然です。そのため、県警や暴追センターでは、相手が暴力団かどうかに関わりなく、暴力や威力、詐欺などに関する相談を幅広く受け付けています。暴追センターの民暴特別相談日(毎月第1、3水曜日13:00~16:00。休日を除く。)には弁護士も同席しますので、複数の専門家によるアドバイスが素早く受けられます。
相手が暴力団か分からなくても是非ご利用下さい。
回答した人
小倉南法律事務所
小川 威亜 弁護士
〒802-0972
福岡県北九州市小倉南区守恒1丁目11-5 寿康ビル2階
TEL:093-963-1731
FAX: 093-963-1732
Q
【質問1】当社は、暴力団関係者や反社会的勢力が会社に押しかけくるというような経験をしたことがなく、対処法がわかりません。基本的な心構えについて、アドバイスをお願いします。
【質問2】暴力団関係者が会社に押しかけてきた場合の受付時の対応について教えてください。
【質問3】暴力団関係者が会社に押しかけてきた場合、どのような場所で面談すればよいか教えてください。
【質問4】会話をする際に気をつけることはありますか。
【質問5】会社側の対応として気をつけておくべきことはありますか。
A回答
【回答1】暴力団関係者と応対するうえでは、毅然とした対応を貫くことが大事です。
暴力団関係者は、「犯罪になれば刑務所入り」の危険を理解しながら、資金を獲得するために会社などを訪れていますから、直接的な暴行、傷害を加えることは滅多にありません。ですので、必要以上に恐れる必要はありません。ただし、相手は、脅しのプロですから決して侮ってはいけません。暴力団関係者は弱い者には強い態度をとるので、毅然とした対応を貫くことが大切です。
【回答2】受付時に、相手方の氏名(フルネーム)、所属団体、所在地、電話番号及び用件等を確認しましょう。
また、年齢、人相、着衣、身体的特徴、言葉の訛り、携行品、自動車のナンバー・車種・塗色等をメモなどに記録しておくことも有効です。この記録については、面談時に面談担当者以外の方がじっくり観察して行う方法もあります。
【回答3】相手方と面談する場合、会社に有利な場所で、応対者が精神的に余裕をもって応対できる場所を選んでください。
具体的には、会社の管理が及ぶ場所(例えば、暴追ポスターや不当要求防止責任者講習の「受講修了書」を掲示した社内応接室、社内電話がある部屋、大声を出せばすぐに社員にわかるような部屋等)で行うのが望ましいでしょう。
相手からの呼出しには応じず、相手方の指定する場所には絶対に出向かないようにしてください。やむを得ず社外で面談する場合は、ホテルのロビー等、人目につく公共の場所を選んでください。
【回答4】暴力団関係者は、相手を挑発して失言を誘い、あるいは言葉尻をとらえ、そのうえで無理難題を押しつけてきます。失言をしたこと自体で責任が発生することはありませんので、挑発に乗らずに冷静に対応することが大切です。ただし、暴力団関係者は、一般市民に馬鹿にされたり、なめられたりしたと思ったときは、「メンツをつぶされた。」などとして、場合によっては直接的な暴力行為に及ぶことがありますので、彼らを挑発することは危険です。
【回答5】担当者を一人にせず、必ず複数で対応することです。
担当者を孤立させてしまったことで、担当者が個人的な責任を追及されたり、担当者が早く終わらせたい一心で、自腹で要求に応じたことにより、深刻な事態に至った事例も見受けられます。交渉の最前線に立つ担当者へのフォローを忘れず、常に組織で対応することを心がけてください。
具体的にお困りの案件がありましたら、弁護士へのご相談をお勧めします。また、福岡県暴追センターにおいて、定期的に福岡県弁護士会民事介入暴力対策委員会所属の弁護士による無料相談も行っております。暴力団員等に関する相談のほか、悪質なクレーマー等への対応についても、広くご相談に応じておりますので、ぜひご利用ください。
回答した人
赤坂明治通り法律事務所
中島 正博 弁護士
〒810-0041
福岡市中央区大名2-4-22新日本ビル403号
TEL 092-741-2884
Q
会社の製品を購入した方から「不良品だ」と言いがかりをつけられました。相手は暴力団との関係もちらつかせながら、「責任者に会わせろ」と要求しています。会社として、どのように対応したらよいでしょうか。
A回答
A1 会う義務はありません。
仮にあなたの会社に非がある場合でも、必ずしも面談の義務はありません。面談は、双方が面談して解決しようという合意があってはじめて成り立つものです。一方から強要されるものではありません。
面談に応じる義務はないことを踏まえ、会社の考えで面談するかどうか決めましょう。
A2 約束のない面談は断りましょう。
面談は、開始と終了の時間、場所、人数を決め、約束の上で行うようにしましょう。約束の時間を超えた場合は、それを相手に伝えて面談を終了しましょう。また、約束のない面談は断わるか、改めて約束した上で面談するようにしましょう。
そもそも面談するかどうかは会社の自由です。したがって、相手が面談条件に文句をつけた場合は、それなら面談には応じられません、と対応しましょう。
A3 警察に通報すべき場面もあります。
要求に応じないと怖い目にあうのではないかという心配もあるかと思います。
しかし、暴言、脅し、居座りなどの行為は、それ自体が暴行罪、脅迫罪、不退去罪等の刑法に触れる行為となります。万一そのような事態になった場合は、警察に通報してください。
相手は、本当に暴力を振るいたいわけではありません。暴力を匂わせて、交渉を有利にしようとしているのです。相手のそのような手口に乗らないためには、警察に通報するポイントをおさえておくことが有効です。
A4 相手の目的を実現させないことがこちらの目的です。
基本的に、相手が言いがかりをつける目的は、お金です。したがって、「お金を払わない」ことが、会社にとっての成功です。相手を言い負かす必要はありませんし、相手から何を言われても気にする必要はありません。
「相手の目的を実現させない」ことを続けていれば、いずれ相手が諦めます。
A5 専門家に相談しましょう。
暴力による脅しを封じた上で、面談の義務はない、相手の目的を実現させなければそれでよいと考えると、ずいぶん楽になるのではないでしょうか。
その上で、なるべく早く、暴追センターや弁護士などの専門家に相談しましょう。
我々は、経験に基づき、相手の狙いを分析し、具体的な対応方法をアドバイスできます。また、弁護士であれば、代理人となって相手と交渉することもできます。アドバイスを受けてどうするかは自由ですから、早い段階で専門家に相談することをお勧めします。
回答した人
筑後リバー総合法律事務所
角倉 潔 弁護士
福岡県久留米市西町1201-2-2階
TEL:0942-65-7200
FAX:0942-65-7202
Q
私が所有し、賃貸していた建物に、いつの間にか賃借人ではなく暴力団員風の男数人が出入りするようになっていました。どうすればよいでしょうか。
A回答
1.暴力団対策法(暴対法)や暴力団排除条例(暴排条例)の整備拡充によって、暴力団は事務所として使用する目的で建物を購入、賃借することが難しくなってきました。
本事例は、暴対法や条例の規制の網をかいくぐる手段として、暴力団が一般人名義で建物の賃借や使用を申し込み、実際には暴力団が使用していることが考えられます。
また、暴排条例により暴力団への利益供与は禁止されていますので、建物が暴力団事務所として使用されていることを事実上知りながら黙認した場合、あなたの社会的信用が大きく失われるおそれもあります。
それでは、このようなケースに直面した場合、どうすればよいでしょうか。
前提として、建物賃貸借契約では、賃借人が賃貸人の承諾なく第三者に建物を使用させることは、建物の無断転貸借にあたり、原則として契約を解除でき、賃借人ないし建物使用者に対して建物の返還をもとめることが可能です(民法612条)。したがって、賃借人ではない第三者が暴力団員であるか否かにかかわらず、原則として建物の返還を求めることが可能です。
このような事態を想定した予防策として、賃貸借契約にいわゆる暴排条項を定めておくことも大切です。賃借人自身のほか不動産の使用者が暴力団ではないことや、事務所などの活動拠点として不動産を利用しないことなどを誓約させ、違反が判明すれば直ちに契約解除できると定めておけば、暴力団に対してのけん制になり、返還を求める根拠もより明らかになります。
2.建物の返還を請求する場合、建物使用者が暴力団員であると、逆に脅迫的手段で使用させるように強要され、あるいはそのような請求を端緒に嫌がらせを受けるなどのおそれもあります。
したがって、建物使用者と直接やり取りをせざるを得ない場合でも、即座に警察への通報ができるよう準備すること、やり取りを録音で記録すること(相手方の承諾は不要です。)、求められても書面に署名や捺印はしないことなどを注意する必要があります。
3.慎重に返還請求の手続きを進めるためには、まず、警察や福岡県暴力追放運動推進センター(以下、暴追センターという。)へのご相談をおすすめします。特に、建物使用者とすでに接触があり、脅迫や嫌がらせにあたるような被害を受けた、あるいは今後受ける可能性が高い場合には、早急にご相談ください。警察では暴対法上の暴力的要求行為にあたると判断した場合、相手方に対してそのような行為の中止を命じること(中止命令制度)が可能です。また、事情が悪質である場合には、警察が捜査のうえ暴対法違反や刑法上の犯罪として検挙することもありえます。
次に、法律問題の専門家である弁護士へのご相談もおすすめします。無断転貸の事実の確認方法や、解除通知書の準備に関するアドバイスが受けられます。また、代理人となってもらい、賃借人や建物使用者との間の連絡をすべて任せることもできます。警察や暴追センターへの相談の際に弁護士に同行してもらうと、事実関係や法律的な関係の説明もより円滑となるでしょう。
暴追センターでは月に2回、暴力団やクレーマーに関するトラブルに関する無料相談窓口を開設しています。そこでは、相談委員と併せて、我々民暴弁護士も経験や法的専門知識を活かして対処方法について真摯に検討し、アドバイスいたします。
是非、このような相談窓口を活用してください。
回答した人
北九州第一法律事務所
天久 泰 弁護士
〒803-0816
北九州市小倉北区金田2-6-4-2F
TEL 093-571-4688
Q暴力団からの離脱について
私は会社を経営していますが、実は甥っ子Aが暴力団の構成員です。優しい男ですが、聞けば生活は苦しく、生まれたばかりの子どもへの影響も考えて、暴力団を離脱したいと真剣に悩んでいるようですが、「辞めるのは難しい」と言います。
私も出来るだけのサポートをしたいと思いますが、Aや私に出来ることはないでしょうか。
A回答
離脱支援のご相談です。実現できれば大変すばらしいことです。 身内に暴力団員がいることで相談者さんの不安もあるでしょうし、経営者ですと、あらぬ風評が生じないかなど、余計に心配事は多いかと思います。 Aさんが実感しているように離脱は簡単ではないので、警察、暴追センター、場合によっては民暴弁護士といったチームで連携をとりながら離脱を進めることが重要です。 これが離脱支援です。
1 離脱支援のスタートは、Aさん本人の決意です。
例えば、Aさんが公営住宅に入居したい、生活保護を受給したいので形式的に暴力団から離脱をするという話であれば、それを援助することは出来ません。 Aさんの「暴力団と決別する」という決意が真剣なものでなければなりません。
2 離脱を進めるに際しては、Aさんが難しいと考えているように不安も大きいはずです。離脱を実現するには、この不安を、一つ一つ解決していく必要があります。
例えば、「組から認めてもらえるのか」といった点については、警察、暴追センターが 丁寧に対応をしていくことになります。 あるいは、「組に要求されている債権がある、その精算を迫られている」ということであれば、それが法律上、正当な債権なのか見極め適切な対応をしなければなりません。 この場合には、弁護士が関与します。 また、離脱後の生活についての不安、就労支援といった問題にも暴追センターは取り組んでいます。
3 次に、相談者さんの会社で就労支援を出来るということであれば、そのような体制作りも支援が必要です。
暴力団を離脱した方を採用する場合にも、警察、暴追センターと連携をすべきです。 せっかく社内に受け入れたのに、世間から暴力団が出入りしている会社と誤解をされるのでは意味がありません。 警察、暴追センターのサポートを受け、社会貢献活動として元暴力団員を採用するということでは、世間の見方も違います。
4 暴追センターは、これらの相談の窓口です。
とにかく、相談者とAさんで相談を開始されることがスタートです。
なかなかAさん一人では決断できない重要な問題であり、周囲の方のサポート、応援が不可欠です。
相談者さんも是非、Aさんと一緒に暴追センターにお気軽にお電話をされてはいかがでしょうか。
回答した人
小川・橘法律事務所
小川 剛 弁護士
福岡市中央区大名2丁目4-22
新日本ビル8階
TEL.092-771-1200
Qインターネットを通じてのトラブル
【質問1】インターネットで検索していると、たまたま「即金融資」「信用調査不要」の文字が目に入り、そこにはすぐに融資を受けられるとの記載がありました。給料日前でお金に余裕がなかった私は、軽い気持ちで5万円融資の申し込みをしました。そこには利息のことは詳しく書いていませんでしたが、5万円であればそれほど高額にはならないだろうと思い、申込フォームに従い、自分の携帯電話番号、自宅住所、勤務先住所・連絡先、家族の勤務先住所なども記載してしまいました。
数日後、この悪質業者から私の銀行預金口座に個人名で3万5000円の入金がありました。入金後すぐに、悪質業者から電話連絡があり、10日後に利子も含めて、合計6万5000円を入金するよう言われました。私は納得がいかず、支払わなかったのですが、悪質業者は、私の勤務先に嫌がらせの電話をしてきたり、家族の勤務先に宅配ピザを大量に注文したりするなどの嫌がらせをしてきています。
悪質業者の言うとおりに6万5000円を支払わなければならないのでしょうか。
【質問2】支払いを拒んだ場合、悪質業者からの嫌がらせが酷くならないでしょうか。嫌がらせが続くときはどうしたらよいでしょうか。
A回答
【回答1】スマートフォンの普及により、このようなインターネットを通じてのトラブルが増加しております。本事例では、本人の認識もなく、いつの間にか暴利のヤミ金から借り入れをしてしまっているのです。この場合は、まず、法律的に言えば、詐欺取消しもしくは錯誤無効の主張も考えられます。
しかし、本事例の実態はヤミ金からの借り入れだといえます。
本事例のように、10日で3割という利息は、利息制限法の制限利率を遙かに上回る暴利といえますから、ヤミ金の事例と同様に利息のみならず元金も返済する必要がないと考えられ、支払いを拒むことができると考えられます。
このようなサイトを使用しての詐欺まがいの融資行為は、組織的に行われていると考えられ、バックには反社会的勢力が存在する可能性が高いといえます。
【回答2】確かに、ご本人が支払いを拒んだときは、残念ながら嫌がらせが酷くなる可能性が高いといえます。特に、本事例のようにインターネットのサイトを通じての詐欺まがいの融資を行う悪質業者たちは、東京に在住するヤミ金である場合が多く、やりたい放題にするので、簡単に嫌がらせが止まらないのが現状です。
そこで、悪質業者とやりとりする前に専門家である弁護士などに相談されることをお勧めします。
ただ、弁護士に相談し、弁護士が悪質業者とやりとりしても、強気で全く交渉に応じない場合もあります。その場合は、弁護士が警察等関係機関に協力を求めながら事態の収束を図っていくことになります。
これに対し、悪質業者の言うがままに金銭を支払ったときは、悪質業者が本人に無断でまた入金してきて暴利を貪ろうとしてきます。それ故、悪質業者との関係を断ち切ることができないのです。
まず、悪質業者と関わらないことが一番ですが、知らずに借り入れを行った場合などは、できるだけ早く専門家に相談してください。でないと、被害が拡大するばかりですから。
回答した人
いとしま法律事務所
岡部 史卓 弁護士
福岡県糸島市志摩師吉709-37
TEL.092-332-9960
FAX.092-327-3110
Qヤミ金からの借金に関する相談
私は町工場を経営しておりますが、運転資金も底をつきました。取引先への支払いをしなければ倒産してしまうので、友人から紹介された賃金業者から20万円を10日で6万円の利息で借りてしまいました。借入から10日後に、1回6万円の利息を払っただけで、あとの返済はできませんでした。すると、返済できなかった利息が元金に加えられて、いつの間にか元金が80万円を超えていました。毎日のように、取り立ての電話がかかってきて怒鳴られ、精神的にも限界がきています。死にたいです。助けてください。
A回答
<A.1>ヤミ金とは、一般に、賃金業法上の登録を受けていない業者をいい、テレビCMでお馴染みの消費者金融はヤミ金ではないです。また、ヤミ金であっても利息制限法上の利率(元金が10万円未満まで年利20%、100万円未満まで年利18%)の範囲内で貸付を行っている業者もあれば、10日で1割(年利365%)、10日で3割(年利1095%)といった利率で貸付を行っている業者もあります。特に、高金利で貸付を行っている業者は反社会的勢力である可能性が高いです。
<A.2>では、上記のQのように10日で3割の利率で借りてしまった場合、その利息や元金を返済しなければならないのでしょうか。
結論から言いますと、利息はおろか、元金も全額返済する必要はありません。上記のQですと、20万円借りて6万円しか返していないのですから、14万円は手元に残って得することになるという結論です。これは平成20年6月10日に日本で一番権威のある最高裁判所が判断したものです。つまり、「そのような反倫理的な違法金利をとる業者は損をしても自業自得でしょ。損したくなかったらそんな仕事早く辞めなさい。」ということです。ただ、気をつけて欲しいのは、最高裁判所は年利数百%から数千%のような場合に元本も含めて返済をする必要がないと判断しているのであって、利息制限法をわずかに超えたくらいの場合には、倫理必然的に利息や元金の支払いをしなくて良いということにはなりません。なお、最高裁判所は、さらに返還した金銭も取り戻せる場合があると判断しています。つまり、上記のQですと、利息として返済した6万円も返してもらえる可能性があると言うことです。
<A.3>それでは、本人が、ヤミ金に対して、「今回の借入は違法だったので、今後は一切返済しません。」というだけでヤミ金は取り立てを諦めてくれるでしょうか。 残念ながら、ご本人で話をしても取り立てを諦めてくれるケースは少ないと思います。なるべく早期に弁護士などの法律の専門家にご相談ください。どんな借金問題であっても解決できない借金問題はほとんどありませんので、自殺などを考える前に、法律の専門家にご相談されることをおすすめします。
回答した人
柴山真人法律事務所
柴山 真人 弁護士
福岡市中央区薬院3丁目16番26号
西鉄薬院ビル3階
TEL.092-406-9436
Q取引関係にない第三者からの不当請求について
A建設会社は、工事案内板が公道にはみ出た状態で、工事を行なっており、現場担当者Bは、はみ出ていたのが僅かだったため、そのままの状態で休憩をとった。
Bが休憩から戻ると、Xが、Bに対し、「案内板が公道にはみ出ていたため、車をひっかけてキズができた。修理代を支払え。」等と要求してきた。
Bが、Xに対し、手持ちがないことを伝えると、Xは、Bに対し、念書の作成を求め、Bは、案内板が公道にはみ出ていたこと等に負い目を感じており、金額も高額にならないと思い、損害の金額を賠償する旨の書面に署名押印した。
そうしたところ、後日、Xより、全塗装の費用や代車費用等として100万円以上の請求があった。
A回答
<A.1>取引関係のない第三者からの請求の考え方にについて 本件のように、会社に対し、取引関係にない第三者から、高額な請求をされるケースがあります。このような請求は、不法行為に基づく損害賠償という法的構成によるケースが比較的多いです(民法709条、民法715条等)。 このような場合、本来であれば、請求する側のXが、加害行為が存在すること、Bに過失があったこと、Xに障害が発生したこと、加害行為と損害の因果関係等を証明しなければなりません。 単に負い目があること等から、このような事実確認や検討がなされないまま、お金を支払ったり、念書を作成してしまっているケースを度々見ますが、このような事実確認と検討は、必ず行うべきだと思います。
<A.2>どのように対応すべきだったか
まずは、Xの請求について、事実確認を行い、それを記録に残しておくべきです。本件でいえば、工事案内板のキズの状態、Xの車のキズの状態、これらのキズが整合するか、工事現場の状況、車の所有者等を確認し、写真で撮影しておく等の対応が考えられます。
また、すぐに会社に連絡し、支払いについては、会社に持ち帰って検討するべきです。
案内板が公道にはみ出ていたこと等については、謝罪してもらってもいいと思いますが、支払いや念書の作成には、応じるべきではありません。
<A.3>今後どのように対応すべきか
会社内で、A1の考え方から、Xに対し、支払いを行うべきかとその金額を検討することになります。念書が作成されておりますが、基本的に(念書の内容にもよります)、同様の考え方で検討することになります。
会社内での判断が難しい場合には、お早めに、弁護士等の専門家に相談されることをお勧めします。
回答した人
河野・野田部法律事務所
高藤 基嗣 弁護士
福岡市中央区大名2丁目4番22号
新日本ビル8階
TEL.092-741-5340
Q企業のホワイト化・・・企業版離脱支援のススメ
私は、会社を経営しているのですが、なんと弊社の営業部長が業務上のトラブル解決のために暴力団員に会社の金銭を度々支払っていたことが判明しました。このことが表沙汰になれば、弊社は、金融機関や取引先から、取引を停止されてしまうのではないかと危惧しています。弊社営業部長もこのことを強く反省し、今後は二度とその暴力団員とは付き合わないと約束しているのですが、弊社は今後どのような行為をとるべきでしょうか。
A回答
<A.1>企業のホワイト化とは?
御社が危惧されているとおり、企業に反社会的勢力との交際が認められた場合、その企業(ブラック)との取引関係は「遮断すべき」というのが金融機関をはじめとする実務の趨勢です。しかしながら、他方で、そのような関係が判明しただけで、その企業との取引が直ちに遮断されるとすれば、そのような事態に直面した企業は、仮に反社会的勢力との関係をきちんと解消して“ホワイトな”企業になろうとしても、そのことが明るみになることのリスクの大きさから、そのことを隠蔽しようとする方向になりやすく、その結果、企業の反社会的勢力との関係遮断すなわち“暴排”はかえって遠のいてしまうのではないかという指摘もあります。そこで、反社会的勢力との関係を認めた上で企業がその関係遮断を図り、再生を図る道(=ホワイト化)があってこそ、初めて、反社会的勢力との一切の関係遮断を進めることができるのではないかと考えられるようになり、そのための具体的な行動が研究されるようになりました。
これは、まさに企業版の離脱支援の取組みと言い換えることができるでしょう。
<A.2>具体的にどのような行動をとるべきか?
それでは、ホワイト化に取り組む企業は具体的にどのような行動をとるべきでしょうか。
ご相談の事例では、まずは、①御社として、関係を有した暴力団員との関係を明確かつ完全に遮断することが必要です。もちろん、暴力団員側からの報復といった不測の事態も十分に想定されますので、あらかじめ警察や暴追センターに相談をおこなうなどの当該営業部長ら従業員の保護に対する配慮も不可欠です。また、関係遮断の意思を暴力団員側に明確に示すためには、民暴弁護士に委任するなどして、内容証明郵便の方法で今後は一切関係を持たない旨の通知をおこなうことが有効です。
次に、②このような事態が発生してしまった原因究明のほか再発防止に向けた取り組みをおこなう必要があります。一例としては、当該営業部長や役職員が主体的に暴追センターの不当要求防止責任者講習等を受ける、反社会的勢力との決別を宣言しそれを社内外に周知徹底させる、といったことが考えられます。
最後に、③外部者による第三者委員会を設置して、御社が反社会的勢力と完全に関係遮断したことを検証してもらってはどうでしょうか。外部者による第三者委員会が御社の取組みを適正に評価し、御社がそれによって反社会的勢力との関係を完全に遮断したと認定してもらえれば、万一、取引金融機関や主要取引先から御社が取引を停止されそうになったとしても、取引継続に向けた説得的な説明ができるはずです。
回答した人
春山法律事務所
林 誠 弁護士
福岡市中央区大名2丁目10番23号
TEL.092-712-2458
Q「暴排条項(ぼうはい条項)」に関する相談
【質問1】最近よく耳にする「暴排条項(ぼうはい条項)とは、何のことですか?
【質問2】どういう契約に導入されていますか?
【質問3】導入するとどんな効果がありますか?
【質問4】今のところ暴力団等とは取引等がなく、トラブルがないのですが、導入は必要ですか?
【質問5】お客様に対して暴排条項の入った契約書を示すのは抵抗がありますが、どのように説明したら良いですか?
【質問6】暴排条項はすでに導入済みですが、何か気をつけることはありますか?
【質問7】暴排条項に関する相談は誰にしたら良いですか?
A回答
【回答1】「暴排条項(ぼうはい条項)」とは、契約書、約款、規約などに定める暴力団、暴力団構成員、暴力団関係者等(以下「暴力団等」といいます。)の排除に関する条項のことで、例えば、以下のような内容が規定されます。
① 契約当事者が暴力団等に該当しないことを宣言(表明・保証)すること。
② 事後に、相手方が暴力団等に該当すると分かった場合には、そのことを理由に契約を解除することができること。
③ 相手方が暴力団等に該当することを理由に契約を解除した場合でも、解除した当事者が相手方に損害賠償義務を負わないこと。
【回答2】売買契約、賃貸借契約、請負契約、取引基本契約、その他商取引に関する契約、銀行取引約款、保険約款、宿泊約款、施設利用約款、会員規約などさまざまな契約等に導入されています。
【回答3】条項に規定したとおり契約解除などに法的根拠を与える効果がありますが、暴力団等の排除を宣言することで、暴力団等の接触を抑制し、取引等への介入の予防を期待することができます。 例えば、個別の事案によりますが、暴排条項があるにも関わらず、暴力団等であることを秘して賃貸借契約を締結したり、ゴルフ場を利用したり、預金口座を開設して通帳などを受け取ったりした場合に、暴力団等が詐欺罪で立件されている事案もありますので、抑制・予防効果は大きいと思われます。
【回答4】暴排条項は、現時点で取引やトラブルがなくても導入すべきです。契約締結後に導入するためには、原則として相手方の承諾が必要です。是非、今のうちに導入をするようにしてください。また、最近は、暴排条項の導入が進んできており、暴排条項のない企業が狙われることもありますのでご注意ください。 なお、福岡県暴力団排除条例では、事業者間の書面契約に一定の暴力団排除条項を盛り込む努力義務が規定されています。
【回答5】条例やコンプライアンス(法令遵守)の観点から必要であることなどを説明すれば、通常は理解が得られると思われます。
また、お客様だけでなく、自社も暴力団等の排除を宣言するような内容にすれば、お客様の理解も得やすいと思われます。
【回答6】内容に不備があるといざというときに十分な効果が得られない場合があります。是非この機会に内容を点検してみてください。
【回答7】取引実態に即して具体的な内容を検討する必要がありますので、弁護士へのご相談をお勧めします。暴追センターを通じて弁護士にご相談もできますので、お気軽にご相談ください。
回答した人
福岡セントラル法律事務所
福井 慎一郎 弁護士
福岡市中央区舞鶴3丁目1番8号
本町ピル2階
TEL.092-771-7431
Q交通事故に係る不当要求
当社の社員が営業活動で車両を運転中、交通事故を起こしてしまいました。
交通事故を起こした際に、当社の従業員は相手方に言われるがまま「事故責任は当社にあり、損害金は全額支払う」との念書を書いてしまいました。当社は、相手方から、この念書を根拠として法外な請求をされています。どうすればよいでしょうか。
A回答
1.会社の法的責任
社員が会社の業務中に交通事故を起こした場合、当該社員だけではなく会社も相手方に対する損害賠償義務を負うことがあります(民法715条・使用者責任、自動車損害賠償保障法3条など)。
よって、会社が相手方から損害賠償請求をされていること自体には問題はありません。
2.損害賠償義務の範囲
会社(社員を含む)に交通事故を起こしたという非が存在するからといって、相手に言われるがままの損害賠償に応じる必要はありません。
会社が相手方に対して負っている損害賠償義務の範囲は、あくまでも交通事故に起因して実際に発生した損害に限られます。
このことは、社員が「事故責任は当社にあり、損害金は全額支払う」との念書を書いていた場合でも変わりありません。
3.示談交渉にあたっての注意点
(1)十分な事実確認をすること
社員が相手方に対し「事故責任は当社にある」旨の念書を交付していたとしても、これに縛られることなく、社員に対し十分な事実確認(事故状況の聴取、自動車の損傷状況が撮影された写真など)を行う必要があります。
また、相手方が主張する損害の存否・金額の妥当性についても十分な事実確認(見積書、診断書、診療明細の徴求など)を行う必要があります。
そして、会社としては、これらの事実確認が完了し、方針を決めるまでの間、相手方に対して損害賠償に応じる旨の回答をすることは絶対に避けるべきです。
(2)相手方の属性を確認すること
相手方が法外な請求をしてきている場合、相手方との交渉の準備として、相手方の属性(暴力団組員であるか否かなど)を警察や暴力追放運動推進センターに問い合わせておくことが有用です。
もっとも、相手方の属性はあくまでも交渉にあたっての心構えに利用するものであって、相手方との交渉の中で闇雲に口に出すのは控えなければなりません。
(3)交渉の方法
会社が法外な請求をする相手方と直接交渉をする場合には、必ず複数で対応すること、録音など記録を取っておくこと、相手方の求める場所には訪問しないこと、相手方に言われるがまま書面を作成しないことに注意すべきです。
4.最後に
今回のような交通事故を含め相手方から不当な請求をされた場合には、適切な初期対応が肝心です。
そこで、不当な請求に対する対応を日頃から準備しておくとともに、警察、暴力追放運動推進センター、弁護士、交通事故の場合には保険会社などに相談できる体制を作っておくことが良いと思います。
回答した人
中村匠吾法律事務所
中村 匠吾 弁護士
福岡市中央区大名2丁目12番12号
赤坂産業ビルディング5階
TEL.092-737-2552
Q不当要求に対応する際の注意点
企業が悪質クレーム等の不当要求を受けた場合の注意点を教えて下さい。
A回答
A1.ここでは、①請求している人の属性にこだわらないこと、②企業側に落ち度がある場合でも法律のルールに従った解決を図るべきこと、③低額な請求だからと言って安易に支払いに応じないこと、の3点について説明をします。
A2.まず、①ですが、最近の傾向として、相手が、暴力団等反社会的勢力に属することを明らかにして不当要求をしてくるケースは非常に少ないということがあげられます。これは、暴力団対策法の中止命令等反社会的勢力による不当要求に対する法的対策が強化されたこと等が要因だと考えられています。その結果、「不当要求かどうかは相手が反社会的勢力に属している人かどうかで判断する」という考え方で対応すると、客観的には不当要求なのに不当要求と判断できず、初期対応を誤ってしまうおそれがあります。よって、不当要求かどうかは、相手の要求内容や具体的な言動等を考慮して判断すればいいと思います。
A3.次に、②ですが、企業の側にも、例えば販売した商品に不具合があった等の落ち度があり、これを原因としてお客から要求がなされているようなケースです。このような場合に、企業が説明義務を尽くし、必要があればお詫びや適切な賠償をすることは当然ですが、執拗に法外な請求を繰り返したり、担当者に攻撃的な言動を繰り返すような場合には、やはり不当要求として、毅然と相手の要求を拒否し、交渉も打ち切ることも大事です。企業側に落ち度があるからといって、相手から求められるままに対応しなければならない訳ではありませんし、責任を負う範囲も法律のルールが基準になります。
このようなケースでは、担当者が相手の要求は不当要求だという自覚を持たないまま、延々と攻撃にさらされ精神的に追い込まれていくこともありますので、特に注意が必要だと思います。
A4.最後に③ですが、最近は、例えば10万円未満等要求額が比較的低額なケースが多いように思います。このため要求を受けた企業の中には、「不当要求とは思うが、お金を払って早く終わらせた方がすっきりしていいのではないか。」とか「不当要求とは思うが、経費的なことを考えると要求に応じた方が合理的ではないか。」等の誘惑にかられるところもあるかもしれません。しかし、安易に要求に応じてしまった企業は、その後も不当要求のターゲットにされるおそれがありますし、その時には「不当要求に応じたこと」自体が、相手から交渉の材料にされるおそれすらあります。要求額の多寡によって不当要求への対応を決めることは慎重に考えるべきです。
A5.以上、3点についてご説明をしましたが、適切に初期対応ができるように、日頃から、不当要求を受けた場合の対応について準備(備え)をしておくことが重要だと思います。
回答した人
不二法律事務所
甲斐田 靖 弁護士
福岡市中央区薬院1丁目16番20号
TEL.092-712-2305
Q反社会的勢力関係企業との契約解除に関する相談
当社は外食店を数店舗展開しているのですが、1年ほど前から、各店舗の清掃やのぼりの設置業務をA社に依頼しています。A社とは取引基本契約書を取り交わし、月々数万円の業務委託費を支払っています。
A社との取引開始直後は特に問題なかったのですが、次第に、A社の代表者や担当従業員がころころ変わったり、作業車両を近隣に迷惑な場所に平然と駐車をしたりするなど、不審な兆候が出るようになり、気になって調べたところ、A社が暴力団関係企業であることが判明しました。
現時点では、A社から脅迫行為を受けたり、法外な料金を要求されたりということはないのですが、当社としては大事に至る前に、早急にA社との契約を解消したいと考えています。具体的にどのような対処すればよろしいでしょうか。なお、A社との間で契約期間については合意したことはなく、契約書上も、契約期間については全く触れられていません。
A回答
契約期間の定めがないということですので、基本的には御社からA社に対し解約申し入れを一方的に行うこと が可能で、理由や相手方の意向にかかわらず、当該申し入れにより契約を解消されることになります。
本件のように継続的商品・サービスの供給契約が交わされているケースで、契約期間の定めがある場合には、契約当事者はこれに拘束されますので、期間内に契約を一方的に解消することは、法律や契約上の解除事由がない限りできないと考えられます。これに対し、契約期間の定めが特にない場合は、当事者はいつでも解約の申し入れを相手方に行うことができ、契約関係を解消することが可能だと考えられています。(なお、この場合でも解釈上解約を制限すべき場合があることが裁判例上認められていますが、本件がこれに該当する可能性は極めて低いと思われます。)
この場合、解約の理由を相手方に示す義務はありません。暴力団関係企業だからなどと言ってしまうと、「確証があるのか。」とか「本件の取引とは関係ない話ではないか。」などと、かえって抵抗する理由を与えることにもなりかねません。 ですので、基本的には解約の申し入れの意思を端的に表明することで足り,やむなく理由を説明する場合でも、「当社の内部的判断」等の抽象的な理由を伝えることで十分です。それ以上具体的な回答を求められても、回答義務はないと思われますので、毅然と対応して下さい。
ちなみに、御社の取引約款や取引基本契約上に、相手方が暴力団関係者であることが判明した時点で直ちに契約を解除できる旨定めた条項(いわゆる暴力団排除条項)を設けておけば、たとえ契約期間内であっても中途解約が容易になるなど、暴力団関係企業との関係を早朝に解消するための重要な武器となります。企業側にも反社会勢力との関係遮断が要求される昨今の情勢にかんがみても、暴力団排除条項の導入は企業防衛の観点から極めて重要と考えられますので、この機会に検討されることをお勧めいたします。
回答した人
藏法律事務所
藏 健一郎 弁護士
福岡市中央区大名1丁目15番33号
福岡セントラルビル6階
TEL.092-406-7147
相談のご案内
- 相談無料
- 弁護士相談OK
- 秘密厳守
暴力団に関連する相談やお悩みは、お気軽にご相談ください。豊富な経験を持つ元警察官の相談委員が弁護士とも連携し法的問題や民事手続きについても対応いたします。
カレンダー(民暴特別相談日(窓口相談))
※窓口相談はお電話にてご予約の上、ご来館ください。