公益財団法人福岡県暴力追放運動推進センター
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インターネットを通じてのトラブル


 インターネットで検索していると、たまたま「即金融資」「信用調査不要」の文字が目に入り、そこにはすぐに融資を受けられるとの記載がありました。給料日前でお金に余裕がなかった私は、軽い気持ちで5万円融資の申し込みをしました。そこには利息のことは詳しく書いていませんでしたが、5万円であればそれほど高額にはならないだろうと思い、申込フォームに従い、自分の携帯電話番号、自宅住所、勤務先住所・連絡先、家族の勤務先住所なども記載してしまいました。
 数日後、この悪質業者から私の銀行預金口座に個人名で3万5000円の入金がありました。入金後すぐに、悪質業者から電話連絡があり、10日後に利子も含めて、合計6万5000円を入金するよう言われました。私は納得がいかず、支払わなかったのですが、悪質業者は、私の勤務先に嫌がらせの電話をしてきたり、家族の勤務先に宅配ピザを大量に注文したりするなどの嫌がらせをしてきています。
 悪質業者の言うとおりに6万5000円を支払わなければならないのでしょうか。

 スマートフォンの普及により、このようなインターネットを通じてのトラブルが増加しております。本事例では、本人の認識もなく、いつの間にか暴利のヤミ金から借り入れをしてしまっているのです。この場合は、まず、法律的に言えば、詐欺取消しもしくは錯誤無効の主張も考えられます。
 しかし、本事例の実態はヤミ金からの借り入れだといえます。
 本事例のように、10日で3割という利息は、利息制限法の制限利率を遙かに上回る暴利といえますから、ヤミ金の事例と同様に利息のみならず元金も返済する必要がないと考えられ、支払いを拒むことができると考えられます。
 このようなサイトを使用しての詐欺まがいの融資行為は、組織的に行われていると考えられ、バックには反社会的勢力が存在する可能性が高いといえます。


支払いを拒んだ場合、悪質業者からの嫌がらせが酷くならないでしょうか。嫌がらせが続くときはどうしたらよいでしょうか。

 確かに、ご本人が支払いを拒んだときは、残念ながら嫌がらせが酷くなる可能性が高いといえます。特に、本事例のようにインターネットのサイトを通じての詐欺まがいの融資を行う悪質業者たちは、東京に在住するヤミ金である場合が多く、やりたい放題にするので、簡単に嫌がらせが止まらないのが現状です。
 そこで、悪質業者とやりとりする前に専門家である弁護士などに相談されることをお勧めします。
 ただ、弁護士に相談し、弁護士が悪質業者とやりとりしても、強気で全く交渉に応じない場合もあります。その場合は、弁護士が警察等関係機関に協力を求めながら事態の収束を図っていくことになります。
 これに対し、悪質業者の言うがままに金銭を支払ったときは、悪質業者が本人に無断でまた入金してきて暴利を貪ろうとしてきます。それ故、悪質業者との関係を断ち切ることができないのです。
 まず、悪質業者と関わらないことが一番ですが、知らずに借り入れを行った場合などは、できるだけ早く専門家に相談してください。でないと、被害が拡大するばかりですから。

岡部史卓弁護士
いとしま法律事務所  岡部 史卓 弁護士

福岡県糸島市志摩師吉709-37
TEL.092-332-9960 / FAX.092-327-3110



ヤミ金からの借金に関する相談


 私は町工場を経営しておりますが、運転資金も底をつきました。取引先への支払いをしなければ倒産してしまうので、友人から紹介された賃金業者から20万円を10日で6万円の利息で借りてしまいました。借入から10日後に、1回6万円の利息を払っただけで、あとの返済はできませんでした。すると、返済できなかった利息が元金に加えられて、いつの間にか元金が80万円を超えていました。毎日のように、取り立ての電話がかかってきて怒鳴られ、精神的にも限界がきています。死にたいです。助けてください。

<A.1>
 ヤミ金とは、一般に、賃金業法上の登録を受けていない業者をいい、テレビCMでお馴染みの消費者金融はヤミ金ではないです。また、ヤミ金であっても利息制限法上の利率(元金が10万円未満まで年利20%、100万円未満まで年利18%)の範囲内で貸付を行っている業者もあれば、10日で1割(年利365%)、10日で3割(年利1095%)といった利率で貸付を行っている業者もあります。特に、高金利で貸付を行っている業者は反社会的勢力である可能性が高いです。

<A.2>
 では、上記のQのように10日で3割の利率で借りてしまった場合、その利息や元金を返済しなければならないのでしょうか。
 結論から言いますと、利息はおろか、元金も全額返済する必要はありません。上記のQですと、20万円借りて6万円しか返していないのですから、14万円は手元に残って得することになるという結論です。これは平成20年6月10日に日本で一番権威のある最高裁判所が判断したものです。つまり、「そのような反倫理的な違法金利をとる業者は損をしても自業自得でしょ。損したくなかったらそんな仕事早く辞めなさい。」ということです。ただ、気をつけて欲しいのは、最高裁判所は年利数百%から数千%のような場合に元本も含めて返済をする必要がないと判断しているのであって、利息制限法をわずかに超えたくらいの場合には、倫理必然的に利息や元金の支払いをしなくて良いということにはなりません。なお、最高裁判所は、さらに返還した金銭も取り戻せる場合があると判断しています。つまり、上記のQですと、利息として返済した6万円も返してもらえる可能性があると言うことです。

<A.3>
 それでは、本人が、ヤミ金に対して、「今回の借入は違法だったので、今後は一切返済しません。」というだけでヤミ金は取り立てを諦めてくれるでしょうか。
 残念ながら、ご本人で話をしても取り立てを諦めてくれるケースは少ないと思います。なるべく早期に弁護士などの法律の専門家にご相談ください。どんな借金問題であっても解決できない借金問題はほとんどありませんので、自殺などを考える前に、法律の専門家にご相談されることをおすすめします。

柴山真人弁護士
柴山真人法律事務所  柴山 真人 弁護士

福岡市中央区薬院3丁目16番26号
西鉄薬院ビル3階
TEL.092-406-9436


取引関係にない第三者からの不当請求について


 A建設会社は、工事案内板が公道にはみ出た状態で、工事を行なっており、現場担当者Bは、はみ出ていたのが僅かだったため、そのままの状態で休憩をとった。
 Bが休憩から戻ると、Xが、Bに対し、「案内板が公道にはみ出ていたため、車をひっかけてキズができた。修理代を支払え。」等と要求してきた。
 Bが、Xに対し、手持ちがないことを伝えると、Xは、Bに対し、念書の作成を求め、Bは、案内板が公道にはみ出ていたこと等に負い目を感じており、金額も高額にならないと思い、損害の金額を賠償する旨の書面に署名押印した。
 そうしたところ、後日、Xより、全塗装の費用や代車費用等として100万円以上の請求があった。

<A.1>取引関係のない第三者からの請求の考え方にについて
 本件のように、会社に対し、取引関係にない第三者から、高額な請求をされるケースがあります。このような請求は、不法行為に基づく損害賠償という法的構成によるケースが比較的多いです(民法709条、民法715条等)。
 このような場合、本来であれば、請求する側のXが、加害行為が存在すること、Bに過失があったこと、Xに障害が発生したこと、加害行為と損害の因果関係等を証明しなければなりません。
 単に負い目があること等から、このような事実確認や検討がなされないまま、お金を支払ったり、念書を作成してしまっているケースを度々見ますが、このような事実確認と検討は、必ず行うべきだと思います。

<A.2>どのように対応すべきだったか
 まずは、Xの請求について、事実確認を行い、それを記録に残しておくべきです。本件でいえば、工事案内板のキズの状態、Xの車のキズの状態、これらのキズが整合するか、工事現場の状況、車の所有者等を確認し、写真で撮影しておく等の対応が考えられます。
 また、すぐに会社に連絡し、支払いについては、会社に持ち帰って検討するべきです。
 案内板が公道にはみ出ていたこと等については、謝罪してもらってもいいと思いますが、支払いや念書の作成には、応じるべきではありません。

<A.3>今後どのように対応すべきか
 会社内で、A1の考え方から、Xに対し、支払いを行うべきかとその金額を検討することになります。念書が作成されておりますが、基本的に(念書の内容にもよります)、同様の考え方で検討することになります。
 会社内での判断が難しい場合には、お早めに、弁護士等の専門家に相談されることをお勧めします。

高藤基嗣弁護士
河野・野田部法律事務所  高藤 基嗣 弁護士

福岡市中央区大名2丁目4番22号
新日本ビル8階
TEL.092-741-5340


企業のホワイト化・・・企業版離脱支援のススメ


 私は、会社を経営しているのですが、なんと弊社の営業部長が業務上のトラブル解決のために暴力団員に会社の金銭を度々支払っていたことが判明しました。このことが表沙汰になれば、弊社は、金融機関や取引先から、取引を停止されてしまうのではないかと危惧しています。弊社営業部長もこのことを強く反省し、今後は二度とその暴力団員とは付き合わないと約束しているのですが、弊社は今後どのような行為をとるべきでしょうか。

<A.1>企業のホワイト化とは?
 御社が危惧されているとおり、企業に反社会的勢力との交際が認められた場合、その企業(ブラック)との取引関係は「遮断すべき」というのが金融機関をはじめとする実務の趨勢です。しかしながら、他方で、そのような関係が判明しただけで、その企業との取引が直ちに遮断されるとすれば、そのような事態に直面した企業は、仮に反社会的勢力との関係をきちんと解消して“ホワイトな”企業になろうとしても、そのことが明るみになることのリスクの大きさから、そのことを隠蔽しようとする方向になりやすく、その結果、企業の反社会的勢力との関係遮断すなわち“暴排”はかえって遠のいてしまうのではないかという指摘もあります。そこで、反社会的勢力との関係を認めた上で企業がその関係遮断を図り、再生を図る道(=ホワイト化)があってこそ、初めて、反社会的勢力との一切の関係遮断を進めることができるのではないかと考えられるようになり、そのための具体的な行動が研究されるようになりました。
これは、まさに企業版の離脱支援の取組みと言い換えることができるでしょう。

<A.2>具体的にどのような行動をとるべきか?
 それでは、ホワイト化に取り組む企業は具体的にどのような行動をとるべきでしょうか。
ご相談の事例では、まずは、①御社として、関係を有した暴力団員との関係を明確かつ完全に遮断することが必要です。もちろん、暴力団員側からの報復といった不測の事態も十分に想定されますので、あらかじめ警察や暴追センターに相談をおこなうなどの当該営業部長ら従業員の保護に対する配慮も不可欠です。また、関係遮断の意思を暴力団員側に明確に示すためには、民暴弁護士に委任するなどして、内容証明郵便の方法で今後は一切関係を持たない旨の通知をおこなうことが有効です。
次に、②このような事態が発生してしまった原因究明のほか再発防止に向けた取り組みをおこなう必要があります。一例としては、当該営業部長や役職員が主体的に暴追センターの不当要求防止責任者講習等を受ける、反社会的勢力との決別を宣言しそれを社内外に周知徹底させる、といったことが考えられます。
 最後に、③外部者による第三者委員会を設置して、御社が反社会的勢力と完全に関係遮断したことを検証してもらってはどうでしょうか。外部者による第三者委員会が御社の取組みを適正に評価し、御社がそれによって反社会的勢力との関係を完全に遮断したと認定してもらえれば、万一、取引金融機関や主要取引先から御社が取引を停止されそうになったとしても、取引継続に向けた説得的な説明ができるはずです。

林誠弁護士
春山法律事務所  林 誠 弁護士

福岡市中央区大名2丁目10番23号

TEL.092-712-2458


「暴排条項(ぽうはい条項)」に関する相談


最近よく耳にする「暴排条項(ぼうはい条項)とは,何のことですか?

「暴排条項(ぼうはい条項)」とは,契約書,約款,規約などに定める暴力団,暴力団構成員,暴力団関係者等(以下「暴力団等」といいます。)の排除に関する条項のことで,例えば,以下のような内容が規定されます。

① 契約当事者が暴力団等に該当しないことを宣言(表明・保証)すること。
② 事後に,相手方が暴力団等に該当すると分かった場合には,そのことを理由に契約を解除することができること。
③ 相手方が暴力団等に該当することを理由に契約を解除した場合でも,解除した当事者が相手方に損害賠償義務を負わないこと。


どういう契約に導入されていますか?

売買契約,賃貸借契約,請負契約,取引基本契約,その他商取引に関する契約,銀行取引約款,保険約款,宿泊約款,施設利用約款,会員規約などさまざまな契約等に導入されています。


導入するとどんな効果がありますか?

条項に規定したとおり契約解除などに法的根拠を与える効果がありますが,暴力団等の排除を宣言することで,暴力団等の接触を抑制し,取引等への介入の予防を期待することができます。 例えば,個別の事案によりますが,暴排条項があるにも関わらず,暴力団等であることを秘して賃貸借契約を締結したり,ゴルフ場を利用したり,預金口座を開設して通帳などを受け取ったりした場合に,暴力団等が詐欺罪で立件されている事案もありますので,抑制・予防効果は大きいと思われます。


今のところ暴力団等とは取引等がなく,トラブルがないのですが,導入は必要ですか?

暴排条項は,現時点で取引やトラブルがなくても導入すべきです。契約締結後に導入するためには,原則として相手方の承諾が必要です。是非,今のうちに導入をするようにしてください。また,最近は,暴排条項の導入が進んできており,暴排条項のない企業が狙われることもありますのでご注意ください。 なお,福岡県暴力団排除条例では,事業者間の書面契約に一定の暴力団排除条項を盛り込む努力義務が規定されています。


お客様に対して暴排条項の入った契約書を示すのは抵抗がありますが,どのように説明したら良いですか?

条例やコンプライアンス(法令遵守)の観点から必要であることなどを説明すれば,通常は理解が得られると思われます。
また,お客様だけでなく,自社も暴力団等の排除を宣言するような内容にすれば,お客様の理解も得やすいと思われます。


暴排条項はすでに導入済みですが,何か気をつけることはありますか?

内容に不備があるといざというときに十分な効果が得られない場合があります。是非この機会に内容を点検してみてください。


暴排条項に関する相談は誰にしたら良いですか?

取引実態に即して具体的な内容を検討する必要がありますので,弁護士へのご相談をお勧めします。暴追センターを通じて弁護士にご相談もできますので,お気軽にご相談ください。

福井慎一郎弁護士
福岡セントラル法律事務所  福井 慎一郎 弁護士

福岡市中央区舞鶴3丁目1番8号
本町ピル2階
TEL.092-771-7431

交通事故に係る不当要求


当社の社員が営業活動で車両を運転中、交通事故を起こしてしまいました。

交通事故を起こした際に、当社の従業員は相手方に言われるがまま「事故責任は当社にあり、損害金は全額支払う」との念書を書いてしまいました。当社は、相手方から、この念書を根拠として法外な請求をされています。どうすればよいでしょうか。

1.会社の法的責任

社員が会社の業務中に交通事故を起こした場合、当該社員だけではなく会社も相手方に対する損害賠償義務を負うことがあります(民法715条・使用者責任、自動車損害賠償保障法3条など)。
よって、会社が相手方から損害賠償請求をされていること自体には問題はありません。

2.損害賠償義務の範囲

会社(社員を含む)に交通事故を起こしたという非が存在するからといって、相手に言われるがままの損害賠償に応じる必要はありません。
会社が相手方に対して負っている損害賠償義務の範囲は、あくまでも交通事故に起因して実際に発生した損害に限られます。
このことは、社員が「事故責任は当社にあり、損害金は全額支払う」との念書を書いていた場合でも変わりありません。

3.示談交渉にあたっての注意点

(1)十分な事実確認をすること
社員が相手方に対し「事故責任は当社にある」旨の念書を交付していたとしても、これに縛られることなく、社員に対し十分な事実確認(事故状況の聴取、自動車の損傷状況が撮影された写真など)を行う必要があります。
また、相手方が主張する損害の存否・金額の妥当性についても十分な事実確認(見積書、診断書、診療明細の徴求など)を行う必要があります。
そして、会社としては、これらの事実確認が完了し、方針を決めるまでの間、相手方に対して損害賠償に応じる旨の回答をすることは絶対に避けるべきです。  

(2)相手方の属性を確認すること
相手方が法外な請求をしてきている場合、相手方との交渉の準備として、相手方の属性(暴力団組員であるか否かなど)を警察や暴力追放運動推進センターに問い合わせておくことが有用です。
もっとも、相手方の属性はあくまでも交渉にあたっての心構えに利用するものであって、相手方との交渉の中で闇雲に口に出すのは控えなければなりません。  

(3)交渉の方法
会社が法外な請求をする相手方と直接交渉をする場合には、必ず複数で対応すること、録音など記録を取っておくこと、相手方の求める場所には訪問しないこと、相手方に言われるがまま書面を作成しないことに注意すべきです。

4.最後に

今回のような交通事故を含め相手方から不当な請求をされた場合には、適切な初期対応が肝心です。
そこで、不当な請求に対する対応を日頃から準備しておくとともに、警察、暴力追放運動推進センター、弁護士、交通事故の場合には保険会社などに相談できる体制を作っておくことが良いと思います。

中村匠吾弁護士
中村匠吾法律事務所  中村 匠吾 弁護士

福岡市中央区大名2丁目12番12号
赤坂産業ビルディング5階
TEL.092-737-2552

不当要求に対応する際の注意点


企業が悪質クレーム等の不当要求を受けた場合の注意点を教えて下さい。

A1.ここでは,①請求している人の属性にこだわらないこと,②企業側に落ち度がある場合でも法律のルールに従った解決を図るべきこと,③低額な請求だからと言って安易に支払いに応じないこと,の3点について説明をします。


A2.まず,①ですが,最近の傾向として,相手が,暴力団等反社会的勢力に属することを明らかにして不当要求をしてくるケースは非常に少ないということがあげられます。これは,暴力団対策法の中止命令等反社会的勢力による不当要求に対する法的対策が強化されたこと等が要因だと考えられています。その結果,「不当要求かどうかは相手が反社会的勢力に属している人かどうかで判断する」という考え方で対応すると,客観的には不当要求なのに不当要求と判断できず,初期対応を誤ってしまうおそれがあります。よって,不当要求かどうかは,相手の要求内容や具体的な言動等を考慮して判断すればいいと思います。

A3.次に,②ですが,企業の側にも,例えば販売した商品に不具合があった等の落ち度があり,これを原因としてお客から要求がなされているようなケースです。このような場合に,企業が説明義務を尽くし,必要があればお詫びや適切な賠償をすることは当然ですが,執拗に法外な請求を繰り返したり,担当者に攻撃的な言動を繰り返すような場合には,やはり不当要求として,毅然と相手の要求を拒否し,交渉も打ち切ることも大事です。企業側に落ち度があるからといって,相手から求められるままに対応しなければならない訳ではありませんし,責任を負う範囲も法律のルールが基準になります。
このようなケースでは,担当者が相手の要求は不当要求だという自覚を持たないまま,延々と攻撃にさらされ精神的に追い込まれていくこともありますので,特に注意が必要だと思います。

A4.最後に③ですが,最近は,例えば10万円未満等要求額が比較的低額なケースが多いように思います。このため要求を受けた企業の中には,「不当要求とは思うが,お金を払って早く終わらせた方がすっきりしていいのではないか。」とか「不当要求とは思うが,経費的なことを考えると要求に応じた方が合理的ではないか。」等の誘惑にかられるところもあるかもしれません。しかし,安易に要求に応じてしまった企業は,その後も不当要求のターゲットにされるおそれがありますし,その時には「不当要求に応じたこと」自体が,相手から交渉の材料にされるおそれすらあります。要求額の多寡によって不当要求への対応を決めることは慎重に考えるべきです。

A5.以上,3点についてご説明をしましたが,適切に初期対応ができるように,日頃から,不当要求を受けた場合の対応について準備(備え)をしておくことが重要だと思います。

甲斐田靖弁護士
不二法律事務所  甲斐田 靖 弁護士


福岡市中央区薬院1丁目16番20号
TEL.092-712-2305


反社会的勢力関係企業との契約解除に関する相談


当社は外食店を数店舗展開しているのですが,1年ほど前から,各店舗の清掃やのぼりの設置業務をA社に依頼しています。A社とは取引基本契約書を取り交わし,月々数万円の業務委託費を支払っています。

 A社との取引開始直後は特に問題なかったのですが,次第に,A社の代表者や担当従業員がころころ変わったり,作業車両を近隣に迷惑な場所に平然と駐車をしたりするなど,不審な兆候が出るようになり,気になって調べたところ,A社が暴力団関係企業であることが判明しました。

 現時点ではA社から脅迫行為を受けたり法外な料金を要求されたりということはないのですが当社としては大事に至る前に早急にA社との契約を解消したいと考えています。具体的にどのような対処すればよろしいでしょうか。なおA社との間で契約期間については合意したことはなく契約書上も契約期間については全く触れられていません。

契約期間の定めがないということですので,基本的には御社からA社に対し解約申し入れを一方的に行うこと が可能で,理由や相手方の意向にかかわらず,当該申し入れにより契約を解消されることになります。

 本件のように継続的商品・サービスの供給契約が交わされているケースで,契約期間の定めがある場合には,契約当事者はこれに拘束されますので,期間内に契約を一方的に解消することは,法律や契約上の解除事由がない限りできないと考えられます。これに対し,契約期間の定めが特にない場合は,当事者はいつでも解約の申し入れを相手方に行うことができ,契約関係を解消することが可能だと考えられています。(なお,この場合でも解釈上解約を制限すべき場合があることが裁判例上認められていますが,本件がこれに該当する可能性は極めて低いと思われます。)
 この場合,解約の理由を相手方に示す義務はありません。暴力団関係企業だからなどと言ってしまうと,「確証があるのか。」とか「本件の取引とは関係ない話ではないか。」などと,かえって抵抗する理由を与えることにもなりかねません。 ですので,基本的には解約の申し入れの意思を端的に表明することで足り,やむなく理由を説明する場合でも,「当社の内部的判断」等の抽象的な理由を伝えることで十分です。それ以上具体的な回答を求められても,回答義務はないと思われますので,毅然と対応して下さい。
 ちなみに,御社の取引約款や取引基本契約上に,相手方が暴力団関係者であることが判明した時点で直ちに契約を解除できる旨定めた条項(いわゆる暴力団排除条項)を設けておけば,たとえ契約期間内であっても中途解約が容易になるなど,暴力団関係企業との関係を早朝に解消するための重要な武器となります。企業側にも反社会勢力との関係遮断が要求される昨今の情勢にかんがみても,暴力団排除条項の導入は企業防衛の観点から極めて重要と考えられますので,この機会に検討されることをお勧めいたします。

藏健一郎弁護士
藏法律事務所  藏 健一郎 弁護士

福岡市中央区大名1丁目15番33号
福岡セントラルビル6階
TEL.092-406-7147